円仁シンポへ行く

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今日は、栃木県立博物館で行われた「円仁シンポ」へ行ってきました。

国際シンポジウム 
「円仁と古代の東アジア−『入唐求法巡礼行記』の世界−」

主催:國學院大學入唐求法巡礼行記研究会 / 共催: 國學院大學栃木短期大学・栃木県立博物館
日時:2007年4月29日(日)10:00〜17:30
場所:栃木県立博物館
このシンポジウムでは、古代の遣唐僧円仁が見聞し、感じた九世紀の日本を含む東アジア世界について国際的な視野に立ち、さまざまな角度から明らかにしていきます。
午前: 基調講演
◇金文経氏(韓国・海上張保皐研究会会長)
「九世紀 新羅海商と旅人」
◇酒寄雅志氏(國學院大學栃木短期大学教授)
「入唐求法の僧、円仁」
午後:テーマ報告・総合討論
< テーマ報告>
1.円仁が歩いた道
◇平澤加奈子氏(東京大学史料編纂所)・河野保博氏(國學院大學大学院)
「『入唐求法巡礼行記』と円仁の足跡」
2.唐の長安城と円仁
◇石見清裕氏(早稲田大学教育学部准教授)
長安の円仁と会昌の廃仏」
◇王海燕氏(中国・浙江大学人文学院歴史系副教授)
「唐長安城の寺院と円仁の動向」
3.円仁と天台宗
◇千田孝明氏(栃木県立博物館人文課長)
「円仁の入唐求法と日本初期天台教団」
◇佐藤長門氏(國學院大學文学部准教授)
「円仁と五台山」
4.東アジア世界の交流・交易
◇馬一虹氏( 中国・中国社会科学院歴史研究所副研究員)
「円仁が目にした唐人の群像―九世紀の東アジア」
◇田中史生氏(関東学院大学経済学部准教授)
「円仁と慧萼―二人の入唐僧が見た転換期の東アジア―」
<総合討論>司会: 鈴木靖民氏(國學院大學文学部教授)

午前中の酒寄さんの話は、円仁について実はあまり知らない(?)私にとって非常にわかりやすい解説でした。また、午後の田中さんの話は私の研究とも直接関係するもので、「やはり田中さんの視点は凄い!」(一般向けのお話ではありませんでしたが…)と思う報告でした。田中さんの報告の内容は、最近発表された「唐人の対日貿易―『高野雑筆集』下巻所収「唐人書簡」の分析から―」(関東学院大学経済学会論集『経済系』229、2006年10月)がベースになっていました。
唐における九世紀の“会昌の廃仏”と今回話としては出てこなかった“黄巣の乱”は、東アジアの海域情勢を考える上でも非常に重要な出来事であることを再認識する機会となりました。
都合により総合討論とその後の懇親会の時間まで居られなかったのが残念でした。
あと、このシンポと同時に、博物館で特別企画展「慈覚大師円仁とその名宝」が行われていたので、昼休みの時間を使って観覧しました。円仁に関わる歴史的展示品がここまで揃えられたのは、初ではないかと思います。また、図録も良くできており、今後の円仁研究にも大いに役立つものとなっています。
栃木県立博物館での特別展は6月3日までなので、関東圏の方は1度是非足を運んでみて下さい。
栃木の後は、宮城の東北歴史博物館、滋賀の滋賀県立美術館と巡回するようです。
★田中さんの報告とも関連して…
先週、大阪の中国史がご専門の山崎覚士さんから研究論文の抜き刷りを受贈しました。ありがとうございます。
○山崎覚士「九世紀における東アジア海域と海商―徐公直と徐公祐―」(大阪市立大学大学院文学研究科紀要『人文研究』58、2007年3月)