「キメラ」―満州国の実態について

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昨日、勤務校の高校2年生の世界史の授業で、あるクラスにおいて、「満州国」の実態について、ギリシア神話に出てくる「キメラ」に例える説があることを紹介しました。
山室信一氏は著書『キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)』の中で、以下のように説明しています。

私がここで企図していることは満州国の肖像をギリシア神話の怪物キメラ(Chimera)になぞらえて描くということである。(中略)満州国を頭が獅子、胴が羊、尾が龍という怪物キメラと想定してみたい。獅子は関東軍、羊は天皇制国家、龍は中国皇帝および近代中国にそれぞれ比すが、そこにこめた含意は行論のうちに明らかになっていくことと思う(以上、17頁)。
かくてキメラは、その十三年五ヶ月余の生命を「帝国日本」とともにした。成否をもって歴史を語ることにどれほどの意味はないにしても、石原莞爾が考えたように満州領有が「日本の活くる唯一の途」であったかどうかは、大いに疑わしい。しかし、満州国建国が近代日本の滅びへの道であったことは、いささかの疑いもない。ともあれ、満州国(=キメラ)の一生は中国東北の大地の限りない恵みをむさぼり食いながら、時々刻々と変態を遂げ、その母体と生死をともにしたものであった。ギリシア神話のキメラは口から炎を吐き、大地を荒らし、家畜を略奪して去っていくという(以上、309〜310頁)。

キメラが吐く炎は、まさに当時の関東軍の行動そのものです。もっと詳しく知りたいという方は是非、山室氏の著書をお読み下さい。
★「キメラ」に関わる本

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)

キメラ―満洲国の肖像 (中公新書)