今度こそ猫の歴史(の一部)

今年8月、シンポジウムで「「唐猫」論覚書―九〜十一世紀、「内」「外」の狭間で―」という題目で研究報告をしました。その際、江戸初期に成立した御伽草子の一つである『猫のさうし(草子)』という史料を使って報告をしました。
その『猫のさうし』には、ある僧侶の夢枕に立った虎毛の猫の談が引かれていて、その中で猫の歴史が見えます。

  是天竺唐土に、恐をなす虎の子孫なり。
  日本は小国なり、国に相応してこれを渡さるゝ。
  その子細によつて日本の虎これなし。
  延喜のみかど(醍醐天皇)の御代より、御寵愛有(り)て、
  柏木のもと、下簾の内に置き給ふ。
  又後白河の法皇の御時より、綱を付て腰もとに置給ふ。
  綱のつきたる故に、一寸先を鼠徘徊するといへども、
  心ばかりにて、とりつくことならず。
  湯水のたべたき時も、のどをならし声を出して、
  たべたけれ共、頭をはり、痛めらるれば是非なし。
  ことばを通ずといへども、天竺の梵語なれば、
  大和人の聞知ことなし。
  大略繋ぎ殺さるゝばかりなり。

猫の扱いに関する歴史的経緯が書かれています。皆さんも是非読んでみて下さい。
つづく…。