地理学・歴史学の基礎講義―その2

今日の午前中前半は、「観光と地理学は関係あるのか??―地理学等で、こんなことも研究できる!?」という地理学中心の授業を行いました。

1.観光案内ガイドブック『るるぶ』と『まっぷる』の京都部分を比較し、①どちらにも取り上げられている場所、②『るるぶ』だけに取り上げられている場所、③『まっぷる』だけに取り上げられている場所をあげていく。
2.あげられることによる効果などを考える(なぜ取り上げられているのか?など)。
3.どちらにも取り上げられないことに魅力や意味はないのか?考える。
4.自ら歩いて発見していくことにより、「自分」のガイドブックを作成していくことができる(その時もちろん『るるぶ』『まっぷる』などのガイドブックは参考にして良い)。
5.そこでの人との出会いや土地の様子などの分析が“学問”となり、場合によっては地域振興などの、その「空間」における人間生活への効果波及へとつながる。
6.これがまさに地理学に携わること、地理学(観光地理学など)を研究することの醍醐味!
【参考文献】
○綾部恒雄編『文化人類学最新術語100』(弘文堂、2002年)
高橋伸夫他編『ジオグラフィー入門―地理学でみる日本と世界』(古今書院、1996年)
高橋伸夫他編『現代地理学入門―身近な地域から世界まで』(古今書院、2005年)
○水岡不二雄編『経済・社会の地理学―グローバルに、ローカルに、考えそして行動しよう (有斐閣アルマ)』(有斐閣アルマ、2002年)
○『AERAMook地理学わかる。』(朝日新聞社、1999年)
○雑誌『歴史と地理』特集「観光」(558号、2002年)

午前中後半は、「木簡とは何か?―七世紀後半の「日本」古代史:横浜市歴史博物館見学準備」という歴史学中心の授業であり、また、明日の午後行くことになっている横浜市歴史博物館の企画展「「諸岡五十戸」木簡と横浜」を見学するための歴史的背景を授業しました。

1.木簡とは?
○木簡…律令体制の整備にともない、京や地方官衙(役所)の事務にかかわる大量の文書が必要となった。当時、紙は大変貴重であったため、通常は、木簡が使われた。木簡は木の札に墨で文字を記したもので、一定期間保存した後、不要になると廃棄したり、削って再利用したりした。cf.刀吏
2.飛鳥時代の舞台
○飛鳥とは?、石神遺跡とは?ということを地図と図録を見て確認する。
3.七世紀後半の地方制度
○「国−評−里」から「国−郡−里」へと「五十戸」について、七世紀後半の地方制度について考える。
4.史料としての木簡―史料と資料=史資料
歴史学の根本!である史料と資料の分類を確認する。
【参考文献】
河上邦彦飛鳥を掘る (講談社選書メチエ)』(講談社選書メチエ258、2003年)
寺崎保広藤原京の形成 (日本史リブレット)』(山川出版社、2002年)
森公章編『日本の時代史 (3) 倭国から日本へ』(吉川弘文館、2002年)
○吉村武彦編『古代史の基礎知識 (角川選書)』(角川選書373、2005年)
和田萃飛鳥-歴史と風土を歩く (岩波新書)』(岩波新書850、2003年)
福井憲彦歴史学入門 (岩波テキストブックスα)』(岩波書店、2006年)

配布したプリントの内容すべてにふれることができなかったのが心残りですが、あとは生徒たちが各自読んで見てもらえればと思います。読んで損はありません。