けん玉は「〜本」?

minamasa2005-10-11

昨年ヒットした『数え方の辞典』(飯田朝子著・町田健監修、小学館、2004年)でけん玉の数え方を調べたら、「〜本」と書いてありました。「数え方のポイント」には特に何も特記されていません。
「本」という数え方に対して疑問がわくのは私だけでしょうか?
日本けん玉協会のホームページ(http://www.kendamakyokai.com/)によると、

お皿が三つあるけん玉の原型は、大正時代に日本で生まれたものです。当時は「日月ボール」と呼ばれていました。大正7年10月1日に広島県呉市の江草濱次(えぐさはまじ)氏が「日月ボール」を考案・出願し、大正8年5月14日に実用新案として登録されました。

とあり、また、日本文化いろは事典のホームページ(http://iroha-japan.net/)のけん玉の項には、

明治時代にけん玉と呼ばれていたものは、真っ直ぐな1本の棒と、1つの球とが組み合わさって出来ていました。現在のようなけん玉が生まれたのは大正時代になってからです。当時は「日月ボール」と呼ばれていました。「日月ボール」は大正7年10月1日に広島県呉市の江草濱次〔えぐさはまじ〕氏が考案・出願し、大正8年5月14日に実用新案として登録されました。けん玉は流行玩具でありながら、廃れる事なく現在も幅広い年齢に親しまれています。

とあります。
けん玉は、棒状のけん(剣)と紐でつなげられた玉で構成され、大正時代にけんの部分に皿がついたらしいです。
各部位の数え方を前掲『数え方の辞典』で調べてみると、けん(剣)は「〜本」「〜振り」等、玉は「〜個」「〜玉」、皿は「〜枚」「〜個」「〜客」、とあります。
そうなると、けん玉の部位で「〜本」と数えることができるのは、けん(剣)の部分ということになります。しかし、けん玉の最初の名前を思い出してみてください。「日月ボール」、つまり「バレーボール」や「サッカーボール」のような球技で使う「ボール」ということになるのではないでしょうか?前掲『数え方の辞典』の「ボール」の数え方には、「球技に使うボールは「個」「玉」「球」で数えます」と書いてあります。
さて、ここで問題となるのは、けん玉は球技なのか?ということです。
現在を基点におくと、日本けん玉協会の設立の経緯が参考になると思います。
日本けん玉協会のホームページによると、『けん玉通信』114号(日本けん玉協会参事・奥住壽)に以下のような文章があります。

昭和50年5月に、日本けん玉協会会長藤原一生十段が、日本けん玉協会を創立し、画期的な糸穴付きの公認けん玉を発明したのです。この左右2つの糸穴付きけん玉は、右利き又は左利き用に糸を自由に付け替えることができる近代的なスポーツへと脱皮できる糸口を作りだしたのです。 そして、その成果は、文部省も認めるすばらしいスポーツの祭典としての文部大臣杯全日本少年少女けん玉道選手権大会の開催にまで花開き、日本の未来を担う子供たちの生活科教材にも取上げられ、けん玉の社会教育的意義はますます高まり続けております。狩猟という仕事道具の訓練用具から出発して、遊戯用具へと進化し、ついにスポーツ用具へと高度な進化を遂げたのが、現代のけん玉なのです。

現在において、けん玉はスポーツとしてとらえられているようです。ここからするとけん玉は立派なスポーツということになり、球技ということになります。
このように、現在を基点におくと、けん玉は球技であり、数え方は「個」「玉」「球」とするのがふさわしいような気がします。ただし、先の、『けん玉通信』114号の引用の最後に、「狩猟という仕事道具の訓練用具から出発して」とあります。
もう少し、けん玉のルーツとその歴史を探ってみる必要があるようです。つづく…。