超然主義=超天然主義?

minamasa2005-10-14

題目を見て驚いた方も少なくないかと思います。
ある生徒がこのような質問をしてきました。
私も驚きました。
しかし、本当に違うのか?
少し考えてみました。
超然主義」という言葉は、『広辞苑』(第五版)によると、

ある物事に関係せず、その外にいて行う主義。

という意味になります。
歴史的に言うと、例えば日本史では、明治時代以降の黒田清隆内閣や清浦奎吾内閣が「超然主義」という政治姿勢をとったと言われています。
1889年(明治22)年2月12日、大日本帝国憲法発布の翌日に黒田清隆が行った演説から「超然主義」という言葉が生まれました。

政治上ノ意見ハ、人々其ノ所説ヲ異ニシ、其ノ説ノ合同スル者相投ジテ、一ノ団結ヲナシ、政党ナル者ノ社会ニ存立スルハ、情勢ノ免カレザル所ナリト雖政府ハ常ニ一定ノ政策ヲ取リ、超然政党ノ外ニ立テ、至正至中ノ道ニ居ラザルベカラズ。(「牧野伸顕関係文書」より)

黒田清隆の演説から、超然主義」とは政党の動向に左右されずに政府が政治政策を行うこと、ということになります。

さて、「超天然主義」とは何でしょうか?ここでいう「天然」とは何でしょうか?『広辞苑』によると、

①[後漢書賈逵伝]人為の加わらない自然のままの状態。また、人力では如何ともすることのできない状態。自然。
②造物主。造化。
③[史記主父偃伝]本性。天性。うまれつき。

という意味があります。①に「自然」という意味が書かれているので、「自然主義」という言葉だとどのような意味になるのか?同じく『広辞苑』によると、

すべてを自然に帰し、自然にまかせる立場。
①〔哲〕
ア)自然を唯一絶対または根本の原理とみなし、精神現象をも含めて一切の現象・過程を、このような自然の所産・所為と考える立場。
イ)善・正などの価値を自然的事実(快をもたらす、自己保存に役立つなどの事実)で定義しようとする倫理学の立場。快楽主義・功利主義はその代表例。
②文学で、理想化を行わず、醜悪・瑣末なものを忌まず、現実をただあるがままに写しとることを本旨とする立場。19世紀末頃フランスを中心として起る。自然科学の影響を受け、人間を社会的環境と遺伝とにより因果律で決定される存在と考えた。ゾラ・ハウプトマンなどがその代表。日本には明治後期に伝わり、田山花袋島崎藤村らが代表。
マルクス主義などの芸術論において、瑣末的事実の忠実な描写にこだわり、本質を見失うような創作方法。

「すべてを自然に帰し、自然にまかせる立場」に「超」がつくわけだから…。
超然主義」が何かを超越して物事を行い、「超自然主義」≒「超天然主義」が物凄く自然にまかせて物事を行う、双方ともに現実離れをして、「我が道を突き進む」という意味では同様の意味かもしれません…。
ちなみに、私は社会でも職場でも「超然主義」、イヤもしかしたら「超天然主義」かもしれません。まわりを気にせず、けん玉を自然にまかせてやっているので…。