「森」と「林」の違い―その1

今日、生徒が「森」と「林」の違いは何かという話題をしていました。違いはわからなかったようなので、私も調べてみました。
まず、「森」を『広辞苑』(第五版)で引いてみると、

〔意味〕
 ①もり。樹木が多い所。「森林」
 ②物がたくさん並ぶさま。「森森・森羅万象」
 ③奥深い。おごそか。「森閑・森厳・陰森」
〔解字〕
 会意。「木」を三つ重ねて、木の多いさまを表す。①は日本での用法。

次に、「林」を同じく『広辞苑』(第五版)で引いてみると、

〔意味〕
 ①木や竹がむらがって生えている所。はやし。「林野・林立・森林・山林・密林・防風林」
 ②物事や仲間の集まり。「書林・芸林・禅林・酒池肉林」
〔解字〕
 会意。「木」+「木」。木が並び立つ意。

広辞苑』だけを見ていくと、「森」には③の「奥深い」「おごそか」(=威儀正しく、近寄りにくいさま。いかめしいさま。厳粛。)という意味が特記できます。一方、「林」には群がる、集まるという意味合いが強いようです。
もう少し、字にこだわってみます。
『角川漢和中辞典』に出てくる類似の熟語を比較してみます。

 ○「林林」…群がるさま。
 ●「森森」…①木の高くそびえ立つさま。②樹木が盛んに茂っているさま。③毛織物の毛羽立つさま。

 ◇「林森」…盛んに多いさま。
 ◆「森林」…樹木の密生している所。

「森」が語頭につくと自然の樹木が直接関わる意味合いが強くなるようです。一方、「林」が語頭につくと集まる、群がるという意味合いが強くなるようです。
ちなみに、『広辞苑』「森」の③の例であがっている「森閑・森厳・陰森」の意味を調べてみると、

 □森閑(深閑)…物音が聞えず、ひっそりと静まりかえっているさま。
 □森厳…秩序正しくおごそかなこと。きわめて厳粛なさま。
 □陰森…①樹木が茂っているさま。②うすぐらくひっそりしているさま。ものさびしいさま。

「森」には自然の木々が持つ静かな性質(神秘的?)を持っているということになるのでしょうか?
同じく「森羅万象」については、同じく『広辞苑』によると、

(「森羅」は限りなく並び連なる意、「象」は有形物の意) 宇宙間に存在する数限りない一切のものごと。万有。しんらまんぞう。

という意味があります。「森」は宇宙を表現し、ひとつの「世界」を意味するのでしょうか?
もう少し調べてみる必要がありますね。
関係ありませんが、けん玉の技に、「宇宙一周」「世界一周」「日本一周」など、「空間」を表す技が多くあります。狩猟道具がルーツ?であるけん玉は、自然の資源である木製品です。
関係ありませんね(笑)。